Service Learning Clearinghouse
「日本版サービス・ラーニング(Service Learning)」の確立・普及を目指し、いろいろな情報やコンテンツを整理するためのブログ(アーカイブ)。

プール学院大学の事例

■出典 プール学院大学研究紀要第46号

1)サービス・ラーニング導入の経緯
 プール学院大学国際文化学部は、2004年度よりカリキュラムに実践科目を設定し、その1つとしてサービス・ラーニングを組み入れている。サービス・ラーニングが導入された要因は2つあり、1つは、学生を送り出す大学の教育理念である。

 1996年に国際文化学部を開設して以来、「異文化間協働」をキーワードに体験知を生かした学びの習得に力を入れてきた。そのためフィールドワークを単位化し、国内外での活動を通して学ぶことを奨励して、教育現場や福祉現場、NPOでの活動実績を積み重ねてきた。

 他方、短期留学や海外研修の制度を設け、学生が様々な国で海外学習を行うことを積極的に推進してきた。特に海外研修は、単なる語学学習にとどまらず、現地の保育園、老人ホームなどの福祉施設を訪問して利用者と交流を持ったり、現地の小学校などで日本語・日本文化を教えたり、現地の低所得者用住宅建設活動を手伝ったりするなどのサービス体験型のプログラムが取り入れられている。



 日本語教育のプログラムは、1998年にネパール研修で開始され、翌年にはミャンマー研修も実施され、今日ではそれらに加えてフィリピン、インド、タイと研修先が拡大されてきている。活動内容にサービス・ラーニングの要素を取り入れることが特徴であり、実施に当たって事前・事後指導が周到に計画されている。

 事前事業には、日本語教授法の基礎的な知識を身に付けるとともに、その実践に向けての準備や訓練をおこなうという研修が組み込まれている。事後指導には、帰国後学生が地域の小中学校の総合学習(国際理解教育)の授業に参画して学習の成果を地域に還元する活動が組み込まれている。

 小中学校の国際理解教育には留学生も毎年参与し、一回限りのゲストに終わることがないように実施校と綿密な連携を図ってきたことは、学校現場でも高く評価されている。このような実践を重視する教育理念が基盤になって、サービス・ラーニングが科目に加えられたのである。

 もう1つは学生を受け入れる地域社会のニーズである。小中学校現場は、今日多様な児童生徒を対象に多面的な教育活動を提供する任務を負っている。多面的な教育活動という点では、国際化、情報化の社会状況を反映して、小学校段階から英語活動、情報教育の導入が進められており、多様な児童生徒の教育支援という点では、外国人や障害児、不登校児童生徒への支援が求められている。

 とりわけ、プール学院大学が位置する大阪堺市には、2005年に12,138人の外国人登録者が生活しており、私立小中学校に606人の外国にルーツを持つ児童生徒が学んでいる。
 彼らの1/5は、日本語の読み書き能力が十分でなく、通常の授業についていくことができず、日本語指導を必要としている。さらに、本学周辺の泉北ニュータウン地域にも1,800名を抱える中国帰国者コミュニティがあり、彼らの子ども・孫達も日本語指導を必要としている。
 堺市は小学校7校、中学校4校に日本語教室を設置し、加配教員を配置しているが、取り出し授業では日本語習得能力の異なる4、5人の子ども達を教員1人で指導し、通常の授業に入り込んで指導することは十分に体制化できていないのが現状であった。

 これらの教育課題に小中学校の教職員だけで対応することには限界があり、学校を地域に開き、地域の人材等教育資源の活用が求められていた。
 以上のように、大学側の教育理念と地域社会側のニーズが相互に結びついて、サービス・ラーニングの導入が進められたのである。

2)サービス・ラーニングの概要
 サービス・ラーニングは正規のカリキュラムの中に位置づけられ、実践科目として8単位まで認定される。
 
 サービス・ラーニングの単位認定要件は明確に定められ、40時間の活動と50時間の学習によって2単位が認定される。50時間の学習には、事前指導、事前研修会への出席、活動日誌と報告書の作成、ふり返りタイムへの出席、中間・最終報告会への出席が含まれ、「やりっぱなしの活動」とならず、大学の学びと結びつくように計画されている。サービス・ラーニングの実施のプロセスは図1の通りである。

 担当教員は、教育学、教育人類学、日本語教育、社会福祉を専門とする4名で構成され、参加学生に対して、事前研修では明確な動機付けを行い、活動中のふり返りタイムや2回の報告会では活動並びに大学での学びの意味を再認識させる。

 また、活動先と学生、教員間の連絡調整や教員の補助のために、担当コーディネーターを学習支援室に置いている。

 活動先は、学生自身が見つけてくることを原則としているが、大学からいくつか紹介できるようにしている。海外での活動先として、プール学院大学が実施している海外研修とつながりを持つ機関・団体の活動を中心に紹介している。
 国内では、大学が地域社会との連携を深めるために、大学周辺地域での活動、特に小中学校での活動を中心に紹介している。
  1. 2007/09/07(金) 16:04:14|
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